【本文ご紹介】『七曲ナナミの斜めな事情1』『銃皇無尽のファフニールⅡ』
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今日は10月2日発売担当作の本文を、
キャラアイコンを使って一部ご紹介ですよ!
雨木シュウスケ先生×硯先生による、
学園×青春×バトルアクションの新シリーズ!
七曲ナナミの斜めな事情1
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雑魚狩りで僕の《重撃衝》を伝授すると共にポイントを稼ぐ。
だけど、できれば、それは誰かに見られたくない。
僕と七曲で、その部分の意見は見事に一致した。
一致した理由は、僕と彼女ではおそらく違うのだろうけれど。
「そういうわけで、二日ほどここでやるから」
放課後、僕は隙を見て彼女の机に忍ばせておいた手紙で七曲を学校近くのファストフード店に呼び出した。
古典的なやり方だが、意地でもメルアドを教えようとしないのでしかたがない。
「ここ?」
学校の近くということで知り合いがいるかもしれないと、七曲はかなりの不機嫌だった。
「てか、なんでそんなに警戒されているのかがわからないんだけど?」
僕と七曲は二人掛けのテーブルに別々で座っていた。
つまり、彼女は僕の背後にあるテーブルに、僕に背を向ける形で座っている。
スパイごっこでもやっているのかと言いたくなる。
「お前のいままでの行動に、あたしに好かれる要素が少しでもあったと思ってるのか?」
「あったね!」
「お前は頭がおかしい」
言い切られてしまった。
僕は肩をすくめる。
七曲が人目を避けるのは、彼女が誰かと一緒にいるところを見られたくないからだ。現実世界でも、《ミラー》でも。
「でもさ、この間は工場まで一緒に行ったじゃない」
「……あれは、しかたなくだ」
「マスクのこととか」
「……好奇心に負けた」
「そんな、一生の不覚、みたいな感じに言わんでも」
背中越しなので表情はわからないが、声は本当に悔しそうだ。
「興味を持ってくれて、うれしかったけどな」
「うるさい黙れ気持ち悪い」
淡々と拒否されてしまった。
まったく……彼女のこの強固な壁はなにでできているのだろう?
「……ときに、僕への好感度って数字で表したらどれくらい?」
「マイナス無量大数」
「ビックバンが起きれば逆転できそうだ」
つとめて明るく言い切った。
「なんだそのよくわからない自信は?」
「偉大なる一歩はビックバンから始まる。宇宙の創世がそのまま一つのカップルの創世に繋がるとは、まったく神話的だね」
「やっぱり頭がおかしいな」
「ま、カップルには別にならなくていいんだけどね。だから惚れなくていいよ」
「死ね」
素敵な言葉を頂き、僕は苦笑する。
正直、彼女との関係性が自分でもいまいち把握できてなくて困っているのだ。
《ミラー》での彼女のよくわからない挑戦が気になり、そしていまは、彼女の挑戦の理由が気になっている。
七曲ナナミ本人に対して、僕自身は『変な奴』という評価から変わっていない。
おそらく、七曲も僕のことを『変な奴』と思っていることだろう。
それなら、変な奴同士で変な会話をしていればいいのだ。
が、それはそれとして、変な会話ばかりもしていられない。
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ナナミの毒舌がたまりませんね!(*゚∀゚)=3
そして、ツカサ先生×梱枝りこ先生がお贈りする、早くも続々重版の人気シリーズ
銃皇無尽のファフニールⅡ
スカーレット・イノセントでは……
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「モノノベ、正直に言ってよ。そうじゃないと、あたし、困る……」
すがり付くような体勢で囁かれ、顔が熱くなるのを自覚した。
「だから嘘なんか吐いてないって! 何も見てない! 下着は見えなかったから!」
俺が焦りながら答えると、イリスはどうしてかさらに狼狽した。
「な…………や、やっぱり見たんじゃない!」
「は? 何を言ってるんだ?」
俺はイリスの反応が理解できずに問いかける。けれどイリスは半べそで首を振った。
「うぅっ……よ、よりによってモノノベに…………あっ、あたし変態じゃないよ? 変態じゃないからね?」
「変態?」
全く会話が噛み合わず、俺は困惑する。
しかしイリスがスカートの裾を太ももで挟み、絶対に捲れ上がれないようにしているのを見て、まさかの可能性が頭に浮かんだ。
「――イリス、お前もしかして、穿いてないのか?」
びくっとイリスが肩を震わせる。
「え、あ、ち、違うよ? いつもじゃないんだよ? 今日はたまたま穿き忘れただけなんだよ?」
「……やっぱり、穿いてないんだな」
相変わらずのドジっ娘ぶりに、俺は溜息を吐く。
「え……? その言い方だと、さっきは本当に見えてなかったの?」
「ああ、何度も言ったように俺は何も見てない」
もし見えていたら、とても冷静を保ってはいられなかっただろう。
「よかったぁ……って、やっぱり良くないよ! モノノベにパンツ穿いてないのバレちゃったじゃない!」
両手で顔を覆って、しゃがみこむイリス。喜んだり落ち込んだり、ずいぶんと忙しそうだ。
「いや、まあ、人生に一度くらいはそんなこともあるさ」
気まずい思いをしながら、俺はイリスを慰める。
「これ、もう何回目か分からないよぉ……」
救いようがなかった。
「…………これまでは、どうやって乗り切ったんだ?」
「体操着で……何とか。でも今日は能力実習も体育もないし……ブルマ持ってきてなくて……寮に一度戻ろうか迷ってたの」
それでようやく、イリスが教室前をうろうろしていた理由を知る。
今から戻ると、遅刻になる可能性が高い。遅刻の危険を冒すか、今日一日ノーパンがバレないよう過ごすかで逡巡していたのだろう。
だが、確か今日は――。
「イリス、たとえ遅刻するとしても、今日だけは戻った方がいい」
俺はイリスの肩に手を置いて、真剣な口調で言う。
「ど、どうして?」
「深月から聞いたんだが、臨時の健康診断があるらしい」
サァーっとイリスの顔から血の気が引いた。
「モノノベ! あたし、パンツ穿いてくるっ!!」
イリスは廊下に反響する大声で叫ぶと、勢いよく立ち上がる。
そしてスカートの端を手で押さえながら、廊下を走っていった。
「…………」
俺は無言でその後ろ姿を見送る。
イリスはまたも大事なことを忘れていた。ここは――教室のすぐ前なのだ。
ガラッと扉を開けて教室に入ると、前列の席に座る金髪の少女が俺にジト目を向けてきた。
彼女は、クラスメイトのリーザ・ハイウォーカー。
転入当初から色々と衝突してきた気の強い少女だ。最初は挨拶すら返して貰えなかったが、今は何とか俺を〝クラスメイト見習い〟と見なしてくれている。
「リーザ、さっきの……聞こえてたか?」
俺が苦笑を浮かべて問いかけると、リーザは眼差しを鋭くして俺を指差した。
「あんな恥ずかしい台詞をイリスさんに叫ばせるなんて……監督不行き届きですわよ、モノノベ・ユウ!」
「え、今のは俺のせいなのか?」
まさか矛先が自分に向くとは思っておらず、俺は慌てる。
「当然です。おっちょこちょいなイリスさんをきちんとコントロールするのは、あなたの役割ですわ。あの子が恥をかかないよう、もう少し気を使いなさい!」
「……俺は、いつからイリスの世話係になったんだ?」
溜息を吐き、小さな声で抗弁する。だがリーザは俺の文句など無視して、他のクラスメイトたちに呼びかけた。教室にはもう深月とイリス以外の全員が揃っている。
「というわけで皆さん、先ほど聞こえてきた恥ずかしい声は、聞かなかったことに。口止め料として、彼が今日のランチをご馳走してくれるそうです」
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イリスさん、パンツ穿いてない……だと……?( ゚д゚)
というわけで、10月2日の発売日まで一週間を切りました!
特典情報などチェックしつつお待ちいただければ!
どうぞよろしくお願いいたします!
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